コラム コラム 法人

カーボンプライシングとは?排出炭素に金銭的負をさせ、排出者の行動を変えさせるとは?

カーボンプライシングとは?排出炭素に金銭的負をさせ、排出者の行動を変えさせるとは?

カーボンプライシングは今話題の概念です。
炭素に値段を付けるという概念なのですが、カーボンニュートラルとも関連性の深い概念になります。
これからの企業はカーボンプライシングによってさまざまな制約がつきまとう可能性がありますので、しっかりとその詳細を確認しておく必要があるでしょう。

取り組み方次第によっては、大きな金銭的な負担を強いられる可能性もあるのです。
逆に有効活用すれば、資金を呼び込むことができます。
今後の世界を各企業が勝ち残っていくためには、カーボンニュートラルやカーボンプライシングという概念をどう有効活用するかにかかっていると言えるでしょう。

目次

カーボンプライシングとは

カーボンプライシングとは、排出される二酸化炭素に対して、価格を付けるというものです。
そして、価格が付けられた二酸化炭素は、排出した分だけ料金を支払わなければなりません。

つまり、特定の企業がこれだけの二酸化炭素を排出したら、それに伴った分のお金を負担しなければならないのです。
このカーボンプライシングについては、世界的に取り組みが実施されていて、現在のところ60以上の国や地域が導入しています。

カーボンプライシングは4種類ある

カーボンプライシングは、大きく分けると4種類のタイプに分かれます。

炭素税

カーボンプライシングの説明を聞いて、鋭い方ならピンときたのではないでしょうか。
その内容はまさに炭素税で、炭素税というのは、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出した企業などに対して、課税を行うというものです。
これは二酸化炭素に価格を付けるのと同じような意味合いがあると言えるでしょう。

ただし、炭素税の導入についてはまだまだ慎重です。
なぜならば、現在の日本のような異常なデフレの状態においては、企業がまともに成長できません。
そこに炭素税という負担が加わることによって、余計に企業が成長できない可能性が出てくるでしょう。

排出量取引

排出量取引もカーボンプライシングにおいては重要な柱です。
これは、まず各企業に二酸化炭素の排出の上限を設けます。
そして、その上限までの間で、各企業が二酸化炭素の排出する権利を売買するというものです。

具体的には、排出量の上限を上回った企業に対して、罰金を科します。
そして、排出量の少ない企業から枠を買い取らせるといった施策が行われるのです。
こうすることによって、二酸化炭素排出権による循環を生み出すことができます。

クレジット取引

カーボンプライシングにおけるクレジット取引とは、二酸化炭素の削減量に価値を付けるというものです。
そして、その価値を取引するというものになっています。

有名なものとしてはJクレジットや非化石証書取引などが該当するでしょう。
カーボンプライシングを導入している国々においては、このクレジット取引がかなり活発に行われていて、投資市場を賑わす効果などもあります。

炭素国境調整措置

カーボンプライシングの最後の柱は、炭素国境調整措置です。
これは各国間で二酸化炭素の価値を比べて、環境対策が十分に採られていないような国からなんらかの製品を輸出する際には、二酸化炭素の価格の差分だけ事業者に費用負担してもらうというものです。

現在のところ、国によってカーボンニュートラルへの取り組みの意欲はまったく異なっています。
その一方で、カーボンニュートラルに熱心に取り組んでいる国もあります。
これをそのまま公平に扱うのでは、カーボンニュートラルに取り組んでいる企業が不公平になってしまいますので、そうした不公平感を是正するための取り組みでもあるのです。

炭素国境調整措置

カーボンプライシングのデメリット

カーボンプライシングは、ポジティブな意見ばかりが取り上げられることが多いです。
しかし、デメリットもありますので、そちらについてもしっかりと確認しておきたいところでしょう。

経済の衰退

カーボンプライシングは、経済の衰退を招いてしまう可能性があります。
特に日本のようにものづくりが盛んな国にとっては、致命的なダメージになってしまう可能性があります。
日本のものづくりを支えているのは、基本的に中小企業になりますので、経営基盤がぜい弱な企業も多いです。
そこにカーボンプライシングが導入されることによって、経済活動が停滞してしまう可能性があります。
そのため、今後炭素税などが導入される場合には、こういったものづくりに貢献している中小企業などの保護をどうするかも課題になってくるでしょう。

電力の不安定化

カーボンプライシングを推し進めていくと、現状では電力の不安定化が発生する可能性があります。
世界各国には、再生可能エネルギーに積極的に取り組んでいる国々も多いです。

しかし、そうした国々で今問題になっているのが、電気価格の高騰です。
電気価格の高騰は、経済活動の停滞を招くだけではなく、国民の生活にも影響を与えてしまいます。
こうした課題を解決するためには、カーボンニュートラルをやめてしまうか、技術革新が必要になってくるでしょう。