コラム コラム 法人

不動産業界のグリーンビルディング認証とは?環境・社会への配慮がなされた不動産へのESG投資に対応

不動産業界のグリーンビルディング認証とは?環境・社会への配慮がなされた不動産へのESG投資に対応

近年、不動産をされている方や不動産投資を検討している方が増えてきました。
中でもESG投資は非常に注目されています。
そこで今回はESG投資に関連するグリーンビルディング認証について紹介していきます。

目次

不動産業界のグリーンビルディング認証とは?

グリーンビルディング認証とは2011年に創設された認証制度で、環境・社会へ配慮した不動産と不動産を所有・運営する事業者を支援する取り組みです。
認定対象となる不動産がサステイナビリティを有するかを、ESGに基づく5つの視点から評価します。
ESGとは、環境・社会・ガバナンスに配慮していること。
環境保護への貢献、地域や社会への貢献や共生を行い、そのための統一的な体制が構築されているかが評価ポイントです。

ESG投資に対応する必要性

近年では、日本においても、企業への投資をする際の判断材料としてESG投資に注目が集まってきました。
日本における機関投資家の代表格である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、資産運用にあたり、ESGの視点を組み入れることを原則とした国連責任投資原則(PRI)に2015年に署名したことが一つの契機です。

ESG投資では、従来のような企業の財務情報や将来性だけでなく、環境・社会への配慮がなされた事業を行っているか、体制が構築されているかなども判断材料になります。
地球温暖化が深刻化し、環境対策を講じることが、地球を守り、各国の経済成長にとっても欠かせない状況になっています。
そこで、大規模な資産を長期で運用していく年金基金などの機関投資家を中心に、企業経営のサステイナビリティを評価するESG投資へのシフトの動きが高まっているのです。
ESG投資においては、気候変動などを念頭に置いた長期的なリスクマネジメントが行われているかや、環境保護や環境対策に対応した事業の創出など企業の新たな収益創出の機会を作り出しているかなどが評価されます。

不動産業界のグリーンビルディング認証の詳しい仕組み

不動産業界のグリーンビルディング認証は、環境・社会への配慮がなされた不動産を支援して、持続可能な社会を目指していくことが目的です。
認証にあたっては、対象となる不動産の環境性能だけでなく、不動産を利用するテナント利用者の快適性や防災・防犯等のリスクマネジメント、周辺環境やコミュニティへの配慮、ステークホルダーとの協業など幅広い点を調査し、総合的な評価に基づいて認証が行われます。
つまり、不動産事業者だけでなく、テナントの利用者や投資家も含め、多様なステークホルダーにも影響を与え合うのが特徴的です。

グリーンビルディング認証を取得することができれば、IR・CSRに活用することができ、ESG投資を呼び込むアピール材料になります。
また、環境意識の高いテナントを呼び込むなど、空室対策や継続的な安定成長にもつながるメリットも生まれるのです。

認証の流れ

グリーンビルディング認証を受けるには、大きく分けて4つのステップを経なくてはなりません。
順次見ていきましょう。

スコアリングシートの提出

認定事業者が用意したスコアリングシートに、認証を受けたい不動産の情報を記入して提出します。
スコアリングシートには全部で85項目もの質問項目が用意されています。
不動産に関する情報提供はスコアリングシートのみで、図面などのエビデンス資料は基本的に添付する必要がありません。
添付資料を用意する必要がないという点で手間はかからないものの、逆にスコアリングシートをしっかりと記入しておかないと、認証が受けられません。

実査とインタビュー

提出したスコアリングシートをもとに、 不動産の専門機関である日本不動産研究所の職員が対象不動産の実査を行い、不動産所有者や管理者等へのインタビューが行われます。
スコアリングシートの内容に基づき、一つひとつ丁寧に実査およびインタビューが行われるため、しっかりと対応することが必要です。
実際に見ることやヒアリングを行うことで、スコアリングシートに記載されていない項目を加点材料にしてくれる場合もあります。
なお、日本不動産研究所は国内で最も多くの不動産鑑定士数を有しており、案件実績も豊富な機関です。
日本トップクラスの鑑定評価の実績で培ってきたノウハウを活かし、さまざまな視点から不動産を調査してくれるので信頼に値します。
場合によっては、今後の不動産運営の改善点などをアドバイスしてくれることもあるので、参考にしたいものです。

認証判定会議

実査を担当した職員を含めた、不動産鑑定士や建築士の資格を持つ専門性の高い複数の職員が認証判定会議を開きます。
スコアリングシートの内容と実査やインタビュー内容などについて議論を行い、丁寧に精査をしたうえで、認証結果を判定していくのです。

認証付与

認証判定会議が終わり、認証されることが決まると、所定の発行手続きを経て、正式に認証が付与されます。
グリーンビルディング認証が付与されると、日本政策投資銀行との共同運営サイトに公表され、企業のホームページや名刺、製品やサービスのパンフレットなどに掲示できるロゴマークのデータも提供されます。
企業名の公表やロゴマークの活用を通じて、ESG投資の呼び込みも可能となるのです。