コラム 法人

不動産業界の「GRESB」とは?会社・ファンド単位のサステイナビリティ投資指標とは?

不動産業界の「GRESB」とは?会社・ファンド単位のサステイナビリティ投資指標とは?

近年、不動産投資が非常に活発ですが、投資を始めようとしている方の中には「GRESB」を知らないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回は不動産業界における「GRESB」と関連するESG投資について紹介していきます。
ESG投資をしている場合やESG投資を検討している場合はぜひ参考にしてみてください。

不動産業界の「GRESB」とは?

GRESBとはGlobal Real Estate Sustainability Benchmarkの略称です。
世界的な不動産の持続可能性(サステイナビリティ)を評価するベンチマークという意味合いです。
ベンチマークとは投資信託をはじめ、投資家が資産運用を行う際の一つの指標となる目印となります。
ベンチマークに沿った投資をする運用スタイルやベンチマークを上回る収益を目指すアクティブ運用などの手法が構築されています。

GRESBはヨーロッパの主要な年金運用機関投資家を中心に、2009年につくられたベンチマークです。
不動産会社やファンドが、サステイナビリティやESGに配慮しているかを評価する指標となります。
ESGとは環境・社会・ガバナンスに配慮すること。
投資対象となる企業が環境保護への貢献をしているか、地域や社会への貢献や共生に配慮しているか、そのための統一的な体制を構築されているかを判断指標として、企業への投資をするか決めるのが、ESGです。

GRESBの利用状況

長期的に多額の資産を運用していく機関投資家においては、従来のような企業の財務状況や事業の将来性などを判断材料にするだけでなく、サステイナビリティやESGの観点を重視するようにシフトしてきました。
世界的な規模で地球温暖化などの環境破壊が問題となり、異常気象による災害で経済的にも大きな打撃が生じる中、経済成長を持続していくためにはサステイナビリティやESGに取り組む企業を支援することが、地球規模での将来の持続可能性につながると考えられるようになったためです。
日本においても、世界的な投資規模を誇る年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、資産運用にあたってESGの視点を組み入れる原則を規定した国連責任投資原則(PRI)に2015年に署名しています。

2009年にGRESBが創設されて以降、世界の不動産会社や運用機関に対して、利用状況の調査を行ってきました。
2015年度調査では、51社の機関投資家と87社の運用機関・不動産関連会社が、投融資先を選別する際にGRESB調査の結果を利用していることがわかりました。
会社・ファンド単位の持続可能性(サステイナビリティ)投資指標としての活用が、浸透していることを意味します。

GRESBの利用状況

GRESBを通じたESG投資について

日本の不動産業界を取り巻く環境として、GRESBとグリーンビルディング認証を介して、不動産の持続可能性(サステイナビリティ)を推進するとともに、不動産業界のESG投資を推進する動きが高まっています。
不動産業界への投資においても、環境・社会・企業統治に配慮している企業へ投資を行うESG投資が重視されるようになっているのは見逃せません。
建物の耐久性など物理的なサステイナビリティにとどまらず、オフィスビルの環境性能や不動産を利用する人の健康や快適性、テナントをはじめ、多様なステークホルダーとの関係構築が判断指標となっています。
特にGRESBが登場したことで、不動産業界においては、ESG投資が重要な意味を持つようになってきました。

GRESBは不動産会社や不動産ファンドに特化した指標であり、ESG(環境・社会・企業統治)への配慮がなされているかを、組織マネジメントと実際の環境や社会に対するパフォーマンスの2つの尺度から測定します。
たとえば、先に挙げたオフィスビルの環境性能や温室効果ガスの削減実績などを数値化して評価していきます。
環境性能については二酸化炭素の排出量の削減度合いなど数値化による比較や検討がしやすいと言えますが、社会への配慮や企業統治については数値化が難しいようにも思えます。
ですが、この点も可能な限り定量化を行い、評価を行うのがGRESBの特徴です。
たとえば、ビルのオーナーが借主に社会・環境に配慮することを求め賃貸借契約に規定したうえで実行するグリーン・リース契約などの締結があるかなどが判断指標にされます。

GRESBでの評価が高いとなぜ投資価値が高くなるのか

GRESBでの評価が高い、すなわち、ESG評価が高く、サステイナビリティが高い不動産や不動産会社、ファンドと言えます。
そもそも、なぜ、GRESBでの評価が高いことで投資価値があると判断されるのでしょうか。

不動産投資にあたっての評価は、従来は総家賃収入から管理費や修繕費などを引いた営業純利益を還元利回りで割って判断してきました。
これからの時代は、還元利回りの評価にあたり、環境規制における炭素税や罰金などの支払いリスクなども配慮しなくてはなりません。
環境対策に取り組まないと余計な税金や罰金を支払うことになることが、投資利回りに織り込まれるようになれば、不動産の持続可能性(サステイナビリティ)やESGに取り組んでいる企業ほどリスクが低いとみなされ、投資価値が高くなるのです。