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FIP制度とは?FIP制度について詳しく説明

FIP制度とは?FIP制度について詳しく説明

FIP制度とはいったいどんな制度?種類・メリット・デメリット・FIT制度との違いについて解説!

近年、電力の自由化によりFIP制度という言葉をよく耳にするようになりました。
ただ、FIP制度を詳しく知っているという方は少ないでしょう。
そこで、今回はFIP制度について詳しく説明していきます。

■FIP制度の概要

最初に、FIP制度の概要から見ていきましょう。

・FIPの意味

FIP制度の「FIP」は、英語の「Feed-in-Premium」(フィード・イン・プレミアム)の省略系です。
頭文字を取って、フィップ制度と呼ばれています。

・FIP制度の定義

2017年12月18日に発表された資源エネルギー庁の資料では、FIP制度について、以下のように定義しています。
”FIPとは、再生可能エネルギーの自立普及・完全自由競争に向けて、再エネ発電事業者が市場価格で電力販売する場合(市場での売却など)に、市場価格にプレミアムを上乗せする方式。”(引用)
要するに、FIP制度は、発電事業者が発電して販売する電力に対して、プレミアム額分を上乗せする制度のこと指しているのです。
上乗せされるプレミアム額分というのは、補助金のことです。
イギリス、オランダ、オランダ、ドイツなどのヨーロッパ諸国では、このFIP制度が導入している国が増えつつあります。

・日本でのFIP制度の導入状況

日本国内でも、電力市場の競争を活性化させることを目的として、2020年6月にFIP制度の導入が決まりました。
2022年4月からは、本格的にスタートする予定となっています。

■FIP制度の種類

FIP制度は、「プレミアム「固定型」FIP」、「プレミアム「固定型」FIP(上限・下限つき)」、「プレミアム「変動型」FIP」の3種類があります。
このうち、日本の FIP制度に当てはまるものは、「プレミアム変動型FIP」です。
資源エネルギー庁の資料には、以下のような記載があります。
”日本におけるFITは、回避可能費用を市場価格に連動させているため(ただし、激変緩和措置あり)、再エネ事業者に対する交付金の設定方法という点ではプレミアム変動型FIPと近くなる。”(引用)
FIP制度のそれぞれの種類の特徴については、以下の通りです。

・①プレミアム「固定型」FIP

プレミアム「固定型」FIPは、電力卸市場価格に対して、一定額のプレミアムを付ける方式です。
電力の需要が大きい時に電力を販売すると、再エネ供給インセンティブが高まりやすいというメリットがあります。
反対に、電力の需要が小さい時に電力を販売してしまうと、発電業者の収入が減ってしまうことにもなりかねません。
卸電力価格の変動によって、発電業者の利益に影響が出やすくなるのがデメリットです。
スペインでは、2007年までプレミアム「固定型」FIP方式が採用されていました。

・②プレミアム「固定型」FIP(上限・下限つき)

プレミアム「固定型」FIP(上限・下限つき)は、市場価格やプレミアムに対して、最低価格と最高価格を設定した方式です。
卸電力価格の変動の影響を受けにくいのがメリットですが、上限額や下限額を設定するのが難しい面があります。
プレミアム「固定型」FIP(上限・下限つき)を導入している国は、デンマークです。
また、スペインでは、2007年から2013年までの間、この方式が採用されていました。

・③プレミアム「変動型」FIP

プレミアム「変動型」FIPは、プレミアムの額が電力卸市場価格によって変動する方式です。
電力の価格が低くなる時はプレミアムを多く付与し、反対に電力価格が高い時には、プレミアムを少なくします
発電業者は、電力の需要の状態によって、収益の変動を受けにくいというメリットがあります。
ただし、電力の市場価格が低下した場合は、より多くの補助金が必要となってしまうのがデメリットです。
イタリア、ドイツ、オランダ、スイスなどの国がこのプレミアム「変動型」FIPを採用しています。

■「FIP制度」と「FIT制度」との違いについて

FIP制度と似たような名前の制度としては、FIT制度(フィット制度)があります。
FIT制度は、再エネの導入を促進することを目的として、2012年に設けられた制度のことです。
FIP制度とFIT制度との違いについては、以下の通りです。

・①目的の違い

FIP制度は、再生可能エネルギーの自立、および、完全自由競争にしていくことを目的とした制度です。
一方、FIT制度では、再生可能エネルギーの普及を促すことのみを目的としています。

・②電力の販売・買取方法の違い

FIP制度では、発電事業者が電力市場に対して電気を販売します。
一方、FIT制度では、電力会社が発電事業者が発電した電気を買取する仕組みとなっています。

・③買取価格の違い

FIP制度は、プレミアムについては一定額となりますが、収入は市場価格によって変動します。
一方、FIT制度では、買取価格が基本的に一定です。
時期や需要による変動を受けません。

・④そのほかの違い

FIP制度
・インバランスリスクあり
・非化石価値販売が可能
・発電予測や発電計画などを準備しなくてはならない

FIT制度
・インバランスリスクなし
・非化石価値はない